2011年 05月 06日
名曲発見 |
最初の三日間はとりあえず自宅におちついていた。両親を病院に送迎する以外にやったことはと言えば、なによりもまず家の中の点検と後片付けだった。実質的な被害は、最大震度を記録した地震初日に、水道管が破裂したこと、それから水屋の破損、棚の上の備品や書物の落下というところ。一階の両親の生活空間はすでに彼らが自分たちで片付けていたが、今は誰も使っていない二階の私と弟それぞれの部屋はそのままにしておくように言っておいたので、この機会に、大整理を試みた。いわゆる『断・捨・離』ってヤツである。あるある、いっぱいある。書き出したらキリがないし、恥ずかしくていうのもハバカられるような代物がどっさりある。(でも確かに懐かしさもある。)
弟の部屋の方に古いオルガンがあった。蓋は何年もの間ビッチリ閉ざされたまま、さほど必要でもない書類を載せるためのただの卓台と化していた。ほこりを払って私の部屋に移し、朝日のさす方の窓際に据えた。
母が私の部屋に入ってきて、それを見て無邪気に喜んだ。着席して蓋を開けて、おもむろに「くつがなる」を弾き出した。そうそう、そういえばこれがオフクロの十八番(おはこ)だったなあ〜。というか、この曲以外あんまりもちネタがないんじゃないのかなあ? どんな曲でもリクエストすれば(トチりトチりだが)ソラで弾こうとするし、「私には音感がある!」というのが本人の完全な思い込みによる自慢の種だったけれど、なにかにつけて弾くのはいつもこの曲だった。でも確かにこれはいい曲だな、とはじめて思った。
お手てつないで 野道を往けば
みんなかわいい 小鳥になって
歌をうたえば くつがなる
晴れた美空に くつがなる (作詞・清水かつら)
ここ最近の母親の症状はまずなによりも、その言動の幼児化に現れた。その母がこんな曲を無邪気に弾いているのをみていると、イメージが出来あがりすぎていて恐怖感すら覚える。
高齢化に加えて、あの一月前の大地震。そして毎日のように続く余震。断水のために近くまで水汲みをしなければならなかった数日間の疲労。そういったことの複合的な作用からきた変調、だと私は推測していたが,その推測の正否はともかく、今後どうなっていくのかというのが心配なのであった。「コワイ、コワイ」というから、「足を揉んでやろうか?」と言ったら、ためらわずに私の前に両足を投げ出した。こんなことなら、もっとしっかり指圧でも学んでおくんだった。無手勝流でツボだとおもわれるところを揉みほぐし、さらに腕から肩から頭まで及んだ。血行を良くすることはとにかくいいことなんじゃないかな? いま小鳥になって飛んでいかれたら私は困ってしまうのである。
弟の部屋の方に古いオルガンがあった。蓋は何年もの間ビッチリ閉ざされたまま、さほど必要でもない書類を載せるためのただの卓台と化していた。ほこりを払って私の部屋に移し、朝日のさす方の窓際に据えた。
母が私の部屋に入ってきて、それを見て無邪気に喜んだ。着席して蓋を開けて、おもむろに「くつがなる」を弾き出した。そうそう、そういえばこれがオフクロの十八番(おはこ)だったなあ〜。というか、この曲以外あんまりもちネタがないんじゃないのかなあ? どんな曲でもリクエストすれば(トチりトチりだが)ソラで弾こうとするし、「私には音感がある!」というのが本人の完全な思い込みによる自慢の種だったけれど、なにかにつけて弾くのはいつもこの曲だった。でも確かにこれはいい曲だな、とはじめて思った。
お手てつないで 野道を往けば
みんなかわいい 小鳥になって
歌をうたえば くつがなる
晴れた美空に くつがなる (作詞・清水かつら)
ここ最近の母親の症状はまずなによりも、その言動の幼児化に現れた。その母がこんな曲を無邪気に弾いているのをみていると、イメージが出来あがりすぎていて恐怖感すら覚える。
高齢化に加えて、あの一月前の大地震。そして毎日のように続く余震。断水のために近くまで水汲みをしなければならなかった数日間の疲労。そういったことの複合的な作用からきた変調、だと私は推測していたが,その推測の正否はともかく、今後どうなっていくのかというのが心配なのであった。「コワイ、コワイ」というから、「足を揉んでやろうか?」と言ったら、ためらわずに私の前に両足を投げ出した。こんなことなら、もっとしっかり指圧でも学んでおくんだった。無手勝流でツボだとおもわれるところを揉みほぐし、さらに腕から肩から頭まで及んだ。血行を良くすることはとにかくいいことなんじゃないかな? いま小鳥になって飛んでいかれたら私は困ってしまうのである。
by konchikusho
| 2011-05-06 06:40
| 生(所感、雑感)